CRISPR Therapeutics (CRSP): 銘柄紹介

CRISPR Therapeutics (CRSP)って?

CRISPR-Cas9という遺伝子編集技術を使用して,医薬品の研究開発を行なっているスイスに本社を置くバイオベンチャーです.CRISPR-Cas9については,こちらをご覧ください.

“Creating transformative gene-based medicines for serious diseases”

というスローガンを掲げており,実際に重篤な遺伝性疾患に対する治療の開発に取り組んでいます.

Nasdaqに上場しており,日本からはSBI証券などから買い付け可能です.

バイオベンチャーに投資する際は,パイプラインの質が重要です.多くの場合,経営指標を見ても意味がないので今回も経営指標の紹介は割愛します.

CRISPR Therapeuticsのパイプライン

CRISPR-Cas9を応用した医薬品について,臨床試験はこれまで実施されていませんが,2018年前半にようやく実施されようとしています!規制当局からは,既にCTA (clinical trial authorization:臨床研究許認可)を受領しているため,近いうちに最初の投薬が行われると思います.

2018年3月現在のパイプライン表です.

VERTEXと共同開発のCTX001という薬剤について,少し掘り下げたいと思います.


(CRISPR Therapeutics Corporate Overview February 2018より)

CTX001: β-thalassemia

CRISPR Therapeuticsでもっとも進んでいるプロジェクトです.β-thalassemia (βサラセミア)を対象とした臨床試験の準備中です.

サラセミアは,遺伝子の異常による貧血症です.特に,βサラセミアは,11番遺伝子に異常がある場合に発症し,疫学的には地中海東部と東南アジアに多いようです.なんと,ギリシャのサラセミアキャリアは,全人口の7.5%に及ぶともいわれています.

重症な場合は,骨髄移植が必要になります.また,重症型は予後不良なため心不全などにより,30歳までに死亡することもあります.

薬で治療できるようになれば,そのメリットは大きいと思います.特に,遺伝子そのものを編集することができれば,一回の治療で治癒できる可能性があるので,患者さんの負担などを考えても非常に意味のあるプロジェクトです.

CTX001: sickle-cell disease (SCD)

CRISPR Therapeuticsで2番目に進んでいるプロジェクトです.SCD (Sickle-cell disease: 鎌状赤血球症) を対象とした臨床試験を計画中です.2018年前半には,IND (Investigational New Drug: 臨床試験実施のための申請資料を規制当局に提出すこと)を完了する予定ですので,2019年前半までに臨床試験が開始されると予想されます.

SCDも遺伝性の貧血症です.赤血球が鎌状になり酸素運搬機能が低下することで貧血症に至ります(教科書で見たことがあると思いますが,正常な赤血球は丸い形をしています).疫学的にはアフリカ,地中海沿岸,中近東,インド北部に多い疾患です.

遺伝子型がホモ接合型の場合,成人前に死亡します.遺伝子型がヘテロ接合型の場合は,低酸素状態でのみ発症するため日常生活は営めます.

CRISPR-Cas9に関するメモ

CRISPR-Cas9が最良の技術かどうかは,人類が経験を積まないとわかりません.現段階で投資先を絞ることは困難です.Cas9という酵素の代わりに,Cas13を使用することでRNAを標的とした治療も研究されています.Cas13に関連する報道を受けて,CRISPR関連銘柄は軒並み下落しています.こちらで紹介した3社は,ここ5日間で10%以上株価を下げています.

BlueBird Bioは,megaTLAsというCRISPRとは異なる技術を応用し,遺伝子編集を行なっています.既に治験を実施しており,近いうちに結果が公表されるはずです.

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