Illumina (ILMN) とGrailの成長に期待!

以前,illumina (ILMN) について紹介しました.この記事では,そのスピンオフ企業であるGRAILに注目したいと思います.GRAILのミッションは,血液を利用して早期ガンを発見する技術(Liquid Biopsy: リキッドバイオプシー)を確立することです.リキッドバイオプシーといわれる血液検査でのがん診断は,今後,大きな市場になると見込まれており,新規参入が相次いでいます.その中でトップを走るのがGRAILだと思います.

GRAILって?

世界最大のNGSメーカーであるIlluminaからスピンオフした企業がGRAILです.血液検査のみで早期のがんを検出する診断サービスを提供する新会社として設立されました.IlluminaのDNA配列読み取り技術を活用し,がん細胞から遊離して血液中を循環するさまざまな種類のがんの核酸を直接検出することを目指しています.より具体的には,NGSで血液中のDNAを読み取り,ガン細胞のDNAの断片を探索します.仮に,ガンを引き起こす変異が見つかれば,症状が現れていなかったり,CT・レントゲンなどにがん組織が映らない段階であっても,体内にがんができていることを示すそうです.

早期ガンの段階で検出可能になれば,治癒できる可能性が劇的に高くなります!

2019年までのサービス開始を計画しており,1回の検査を1,000ドル以下で提供する想定です.Illumina CEOは,「治療可能な段階でがんを検出することによる死亡率の大幅減が狙い.がんとの戦いの転換点になると期待している」とプレスリリースで表明しています.

GRAILの注目度は?

最初の資金調達で1億ドル以上を集めました.これはスタートアップとしては異例の額です.Illuminaが5割以上を出資していますが,その他の出資者が注目を集めました.

  • ARCHベンチャーパートナーズ
  • Bill Gates (Microsoft創業者)
  • Bezos Expeditions (Jeffrey Bezos [Amazon.com創業者] のベンチャーファンド)

GRAILは,2018年1月の発表で,10億ドルの資金を追加調達する計画を明らかにしました.そこでは,投資家からIoI (Indications of Interest: 投資する意思を表明すること) があったことと,迅速に行動することで多額の資金注入を確保することを示唆しています.

CancerSEEK:GRAILのライバル登場か?

改めて記事にしておこうと思うきっかけになったニュースについて,振り返ってみたいと思います.

Johns Hopkins Kimmel Cancer Centerは,CancerSEEKという検査法を開発しました.CancerSEEKは,1回の血液検査で8種のがん種(米国におけるガンによる死亡の60%以上を占める)を検出し,がんの部位までも判定できる技術です.検査法は,とてもユニークな非観血性の多検体検査法であり,8種のがんに関連するタンパク質のレベルを同時に測定し,血中に循環するDNAのがん遺伝子変異を検出することができます.しかも,5種類については,これまでスクリーニング法がなかったものです!

この検査は,がんスクリーニング検査のみを目的としているという点において,治療可能な標的を判定するために大量のがん関連遺伝子を解析する他の検査とは異なります.また,CancerSEEKの新しい側面は,機械学習を使用して,患者の83%の少数の解剖部位まで腫瘍の位置を正確に決定できるようにすることでもあります.

既存のガン検査に加え,CancerSEEKのような特定のバイオマーカーの組み合わせを用いる方法は,ガンのスクリーニング法を大きく変える可能性があります.

CancerSEEKは完璧ではなく,改善点もあります.主に,擬陽性判定を少なくすることと,スクリーニング検査を安価にすること(突然変異パネルを小さくすること)が挙げられます.

CancerSEEKの評価試験では,ガン患者と健康な人の両方を対象に検査を行いました.812人の健康な人に用いられ,わずか7つの偽陽性結果しか得られませんでした(偽陽性率: 0.86%).また,さまざまな癌(卵巣,肝臓,胃,膵臓,食道,結腸直腸,肺,または乳房の非転移性ステージI〜IIIのガン)を有する1,005人の患者を評価した結果,検出感度の中央値は70%であり,卵巣がんが最大で98%,乳がんが最小で33%でした.卵巣癌,肝臓癌,胃癌,膵癌,食道癌のスクリーニング検査を受けていない5つの癌について,感受性は,69〜98%の範囲でした.

GRAILは大丈夫か?

GRAILは,腫瘍のDNA断片のみ検査に利用します.CancerSEEKのようにタンパク質は利用しません.つまり,2つの技術は似て非なるものということです.どちらの技術が優れているかは現時点では誰にもわかりません.GRAILはおそらく大丈夫でしょう.

GRAILとIlluminaが生むシナジー

GRAILは,ガンのDNAのライブラリーを作成するために,何万人もの被験者のDNAを測定する計画です.一度ライブラリーを作成してしまえば,その後,コンピューターで解析できます.時間と費用は掛かると思いますが.そう遠く無い未来に実現できると予測されています.

GRAILは,遺伝子解析ツール(NGS)を販売するIlluminaの最大の顧客になると言われています.GRAILのガン検査技術が確立された場合,通常の健康診断で行われている血液検査に加え,血液を利用したがん検診も同時に行われることになるのは明らかです.その都度,IlluminaのNGSが利用されることになれば,Illuminaの売上は数倍になることが予想されます.

GRAILはスピンアウトしたばかりで上場していませんが,Illuminaは米国市場に上場しています.Illumina株の買付は,SBI証券をおすすめします.

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