Amazon Prime Wardrobeの可能性と収益への貢献

Mail from Amazon.com:

“today Amazon Fashion announced Prime Wardrobe, a new way to shop for fashion at Amazon, where you can try things before you buy them.”

2017年6月,Amazon.com は,プライム会員向けの新たなサービス Amazon Prime Wardrobe を発表しています.このサービスは,気になる衣料品を注文し,届いたものの中から気に入ったもののみを購入することができるというものです.サービスのアナウンスから10ヶ月程が経過していますが,現在もベータ版(招待制で一部のPrime会員が対象)のままです.しかしながら最近になって,Amazon Prime Wardrobe関連のツイートが増えてきているようですので,サービスの正式公開が近いと考えられます.日本で公開されるのは,少し先だと思いますが一度情報を整理しておきたいと思います.
なお,comScoreのデータによると,Amazonのアパレル部門の売上割合は,2013年には15.4%でしたが,2016年には17%に拡大したということです.新サービス Amazon Prime Wardrobe が大きな収益源として成長する可能性はあると考えてよいでしょう!

Amazon Prime Wardrobeのサービスの概要

洋服・靴・アクセサリーなどのファッションのカテゴリーから3〜15アイテムを選択すると,Prime Wardrobe boxとして自宅まで配送されます.
7日間以内に試着を完了し,気に入らなかったものは送られてきたボックスで返送します.返送ボックスには自宅近くのUPSが発行したプリペイドラベルがついているので,集荷を依頼すれば直ぐに返送できますし,もちろん営業所に直接持ち込むこともできます.消費者としては宅配業者とのやりとりが少し増えるだけということです.
購入特典が設けられており,7商品を注文した場合,3〜4個の商品を購入すれば10%offになり,5個以上の商品を購入すれば20%offになります.この割引サービスは面白いですよね.

商品の返品について

Amazonは,Zapposというアパレル関連の通販小売店を傘下に収めています.このZapposですが,Amazonが買収する前から既に返品システムをサービスの特徴のひとつとしてアピールしていました.
Amazonの商品を確認するとアパレル関連商品を幅広く揃えていることがわかりますが,そこに返品サービスを追加することで利便性が高まり,消費者を吸い取ることになると思います.

返品のメリット

衣料品の通販に消極的な人の多くは,試着ができないことや,モニターごしでは質感がわからないといった理由で実店舗を好んでいるようです.自宅で試着可能で更に追加料金なしで返品もできるということであれば,これまで衣料品の通販に消極的であった人を取り込むことができます.実は,オンラインショッピングで規模がもっとも大きいのはアパレルであり,成長率も最高です.そのため,WalmartはShoeBuy,Bonobos,ModClothなどを買収しています.
また,ネット注文に限らず店頭で購入した場合でも,購入時点では良いと思ったのに,自宅で見たら何だか思っていたものと違って後悔することって誰しもありますよね.自宅で落ち着いて試着できると,そういった後悔が減らせると思います.更に自宅であれば自分の持っている服との相性を評価することも容易です.

送料・返送料

私はほとんどの洋服をzozotownで購入しています.その理由は,品揃えの多さに加え送料無料が魅力的であったからです.残念なことに zozotownの送料無料は廃止されており,2017年11月より一律200円(税込)となっています.200円でも安いと思いますが,注文のたびに少しモヤモヤします.やっぱり,送料無料は魅力的ですよね!

米国内の競合状況

Amazon Prime Wardrobe と同様の返品サービスは,Stitch Fix (定額会費システムに加えて,スタイリストが消費者に合わせて選んだアイテムを送るという仕組も採用) など多くのサービスが行なっていますが,それらの類似サービスと比較すると、Amazonは出不精な人をターゲットとして重視しているようです.おすすめアイテムなどを送って購入てもらうのではなく,消費者が実際に関心をもったもののみを送るようになっているので,Stitch Fix などの既存サービスとは少し異なります.
Amazon Prime Wardrobe がある程度上手くいった場合,Stitch Fixなどの既存サービスを買収することでサービスの急拡大を目指す可能性があると思います.
最近の動向ですが,Stitch Fix はIPOを完了しており,Gwynnie Beeはファッション店舗向けに会員システムのファッション通販を運営できるプラットフォームの提供を開始しています.

ZOZOTOWNとの比較

Amazon Prime Wardrobe は,Amazon ユーザーへのなじみやすさという点でZOZOTOWNよりも有利です.複数のサイトで購入するよりもAmazonという一つのサイトで完結できればユーザーはハッピーなはずです.
また,Amazon Prime Wardrobeは,注文時だけでなく返却時も送料無料です!ZOZOTOWNも基本的には返品可能ですが,両方で送料がかかってしまいます.
ZOZOSUIT を発表したZOZOTOWNですが,やはり実物を試着でき,さらに送料完全無料のAmazon Prime Wardrobeに軍配があがると思います.
ZOZOTOWNの品揃えはすばらく,多くの若者を引きつけていますが,Amazonが同じような品揃えを実現できればユーザーの多くを奪うことができるはずです.

Amazon の既存サービスとの親和性

Amazon Prime Wardrobe は,Amazon Echo Look との親和性が高いと思います.全身写真で洋服を試着したときの様子をチェックすることができるので,StyleCheckアプリケーションなどを使って似合うかどうかをAIに判断してもらってから購入判断をすることもできます.Amazonが扱うファッション関連サービスの拡大に寄与するものとなる可能性を秘めています.
10年程前,ジェフ・ベゾスCEOは「2000億ドル企業になるためには,ファッションや食料品を充実させていく必要がある」と述べていました.現在の時価総額は,当時の目標を上回っているわけですが,ファッション関連サービスを充実させることでAmazonはさらなる成長を成し遂げようとしているわけです.

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